友人と楽しかった本の話をしていて、ふいにこの小説を思い出した。面白いのなんのって、まるで映画のような小説だ。
椎名SFワールドの原点。椎名誠の本で、一番売れてるのはおそらくエッセイ・旅行記なのだと思うけど、(amazonの「売れてる順番」でもそうみたい)
ぜひともこの「アド・バード」、「水域」、「武装島田倉庫」のSF3部作は読んでほしい。
SFは科学半可通のカタカナ連呼小説ではない。知識によるものではなく、発想のトビかたで勝負するものだと思う。自分にとってのSFの魅力は、「まるで映画みたいに別のおかしな世界を構築して、新しい世界の中を旅することで、今自分がいる世界のおかしさを再発見できること」だと思っているのだけど、この「アド・バード」はSFの魅力が満載だ。
近未来の、赤茶けた鉄錆の世界と、そこで生きる人々。酸性雨が降る中の奇怪な生物。
その中の人々はどれも人間くさく、奇妙な生活を営んでいる。
多くのSFが、世界の描写を際立たせるためにストーリーはかなりシンプルなものにしているとおり、「アド・バード」の筋立てもシンプルだ。知識から造った世界でもない。
ここにあるのは椎名誠の発想から生まれた奇妙な世界と、筆力によってぐいぐい展開するストーリー、読み終わってから、周りの世界が急に奇妙なものに見える読後感だ。






