騒がしい未来

無駄に元気な毎日を送っている、チームラボ所属 高須正和のブログです。最近はtwitterメインで更新中

アーキテクチャの生態系――情報環境はいかに設計されてきたか
濱野 智史
エヌティティ出版
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なんというか、スゴい本だ。この本は、抽象的なことの説明が上手なネットジャンキーが、日本のインターネットで起こったことを、しっかりと言葉にした(分析した)本だ。
なぜ日本ではmixiが流行し、facebookは流行らないのか。2chやニコニコ動画みたいな日本ローカルのサービスはどこにキモがあるのか。そうした、「ネットが好きなら、誰でも何となくは説明できる(日本人は実名出すのが苦手だとか)」話に、この本はしっかりした考察と言葉を与えてくれる。

人文系からその後IT企業に入った人(僕みたいな)には、すごく懐かしいキーワードが頻出する。ベンヤミンのアウラとか、テンニエスのゲマインシャフトとゲゼルシャフトとか。ただ、簡単なことを外国の社会学者の言葉を用いて小難しく説明する盆百の「ネットで起こったことを分析してみた」本と本書をわけるのは、筆者の濱野さんのネットへの耽溺ぶりと、「インターネットが好きで、あるがままを言葉にする」姿勢だろう。

抽象的で答えのないことを語るとき、いきおい「良い/悪い」と「好き/嫌い」をわけることは難しくなる。また、ネットの世界に深くハマっている人はたいてい何かのプレーヤーであるわけだけど、思い入れや強い指向性のないプレーヤーはいない。たとえば梅田望夫のいくつかの本を思い出せばわかると思う。冷静な観察者で、抽象的なことをきっちりと言葉にできる人で、かつつきあっているといくらでも時間を消費してしまうネットに耽溺できる人は、僕が思ったよりも少ないのだろう。「本書のような本」はいっぱいあるけど、こんなに面白くて、勉強になる本はまずない。

「孤独に耐えられるか、よっぽど自分の趣味の体型を確立した人でなければ、非同期型=オンデマンド型のメディアだけで満足するのは難しくなります。」

みたいな説明はスゴい。

この本で題材にされているコミュニティーは、どれも5年後/10年後、もうなくなっているかもしれない。Niftyserveのことを詳細に分析した本があったとしても、もう読まれない。その意味でこの本が古典になることはないだろう。でも、ここ数年は、ネットでの出来事、新しいコミュニティーやサービスを説明するために、何度も引用される本だと思う。

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