2004年10月27日
椎名誠 「アド・バード」@
友人と楽しかった本の話をしていて、ふいにこの小説を思い出した。面白いのなんのって、まるで映画のような小説だ。 椎名SFワールドの原点。椎名誠の本で、一番売れてるのはおそらくエッセイ・旅行記なのだと思うけど、(amazonの「売れてる順番」でもそうみたい) SFは科学半可通のカタカナ連呼小説ではない。知識によるものではなく、発想のトビかたで勝負するものだと思う。自分にとってのSFの魅力は、「まるで映画みたいに別のおかしな世界を構築して、新しい世界の中を旅することで、今自分がいる世界のおかしさを再発見できること」だと思っているのだけど、この「アド・バード」はSFの魅力が満載だ。 近未来の、赤茶けた鉄錆の世界と、そこで生きる人々。酸性雨が降る中の奇怪な生物。 ここにあるのは椎名誠の発想から生まれた奇妙な世界と、筆力によってぐいぐい展開するストーリー、読み終わってから、周りの世界が急に奇妙なものに見える読後感だ。
ぜひともこの「アド・バード」、「水域」、「武装島田倉庫」のSF3部作は読んでほしい。
その中の人々はどれも人間くさく、奇妙な生活を営んでいる。
多くのSFが、世界の描写を際立たせるためにストーリーはかなりシンプルなものにしているとおり、「アド・バード」の筋立てもシンプルだ。知識から造った世界でもない。

椎名誠の小説は、中学生ぐらいの時に『蚊』とか『あやしい探検隊』ぐらいしか読んだことが無いですが、当時は感性が貧しかったのか、または合わなかったかでぜんぜん印象に残っていません。
しかし、「活字のサーカス」は何度も読み返して面白く、一時その文体を真似ようとしたことも有りましたっけ。
それ以上に印象的なのは『シベリヤ追跡』という旅行記。これはやはりすり切れるぐらいに読んだんですが、この本がソ連・中国という流れと、雪氷という流れを同時に産んだ、今から思えば決定的な書物だったようです。
そう思うと、椎名誠の影響力って凄かったんですね。個人的な話題で(*_ _)人ゴメンナサイ。
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