2004年11月14日

池袋ウェストゲートパーク TVドラマ版@

池袋ウエストゲートパーク DVD-BOX
ジェネオン エンタテインメント (2000/10/25)
売り上げランキング: 4,617
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おすすめ度の平均: 4.67
5 いけふくろうって、昔からあったの?
5 参りました。
5 買う価値ある!

雨の週末、まとめて借りてきて鑑賞。
小説は昔からファンで、TV版を見たのははじめてなのだけど...かなりがっかり。小説がビートに満ちた上質のロックンロールだったとしたら、TVはロック気取りのポップスになっている感じ。「TV版ならでは」の魅力はそれほど感じられない。

小説版ウェストゲートパークは、「物語」の展開で読ませるわけではなく、キャラクターの魅力や細部の描写、展開のストーリーで読ませる作品だと思う。
 独特の描写、全体に漂うシニックでありながら人間肯定的な雰囲気など、文体で「ひとつの世界」を造ってしまう作品だ。街の描写、人々の描写はそれぞれリアルで、池袋で生活している自分にとっても、「実際にありそう」と思ってしまう。ただし、出てくるキャラクターはどれも実際にいないぐらい魅力的すぎて、そこから小説的で劇的なストーリーが展開される。
画期的なアイデアと「人を巻き込む力」を持ち、あきらめずしつこく事件を追いつづけるマコト。
信じられない反射神経を持ち、氷のようにクールなG-Boysのキング・タカシ。
ストリートギャングのG-Boysもタカシの統率の下、見事な連携を見せることで、「自分の納得できるルールの中では、ワルガキでも力を発揮できる」ことを見せる。
「きっちりした社会人」のルールを持ちつつマコト達とつきあっていこうとする横山池袋警察所長。それぞれの世界観/価値観と責任のもとに動く、魅力的な「人間」だ。
ギャング同然と思われるストリートのフリーター達が、それぞれの置かれた立場とルールの中で動いていくことが小説を魅力的にしていて、シニカルな視点と人間肯定の基調を生んでいると思う。

ところがTV版で描写されるのは、舞台は池袋の街だけど、画面に写るシーンはどれもありそうに思えない。自分の住処から歩いて10分足らずのところなのに、「TVの中の風景」にしか見えない。
常に皮肉めいた視点を持ってる主人公のマコトは直情径行型の熱血ボーイになっているし、G-Boysのキングはおちゃらけたキャラクターばかりが目立つようになり、警察官はステレオタイプな悪役になっている。登場人物全員が全員が「ワルガキ」すぎるし、馬鹿すぎる。
マコトもタカシも妙にそれぞれの両親が強調されるところが、よけいに「ワルガキ」さを煽る。小説版ではタカシの両親は登場したことがない。
他のキャラクターにしても、それぞれあまりに悪いところが強調されすぎて、悪い意味で「マンガ的」すぎるし、リアリティがない。俳優のせいなのか、ディレクターや脚本が悪いのかはわからないけど、キャラクターのそれぞれに原作の魅力はほとんど残っていないし、新しい魅力が付け加えられているわけではない。(ただしマコトだけは、普通の外見だったはずが美男子になっていて、余計に物語をつまらなくしている)

小説版のマコトはそれなりに苦労しているせいか、誰に対しても「そいつの事情」を考えてしまうのだけど、TV版にはそれもない。小説版のマコトは自分の情けなさをある程度感じていて、だから「立派なこと」をしている人にはなるべく味方になろうとするのだけど、TV版にはそれもない。
タカシやマコトが、何を背負って何からは逃げているのか、彼らが大事にしている価値観は何なのか、彼らのポリシーは何なのか、どれも小説からは伺えて、TVからは見えてこない。画面の中では理不尽に問題が起こり、理不尽に解決していく。映像のスピード感はあるから、楽しく時間が過ぎてはいくけど、それだけだ。

映像のテンポはいいし、シーンのそれぞれに小ネタが散りばめられていて、見ていて飽きない。カッコいい作品だと思う。「面白いTVドラマ」を求めるならよいし、魅力的なシーンも多くて、TVドラマと言うよりはむしろ映画みたいだ。でもそれぞれ、「TVドラマにしては面白い」という話。普段まったくテレビを見ない(サッカー中継ぐらい)の自分は、役者への思い入れもない。
小説を読んだときのショックは再現されなかった。

 

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