ミッキーローク最高。人生の晴れとケを描ききった傑作。
今や年老いたかつての名レスラーが、今やジャンルの人気がなくなり客の減ったプロレスで今なおメインイベンターを張り、スーパーマーケットで生活費を稼ぎながら酒場通いをやめず、情熱と破綻した性格で周りの人間に愛され憎まれながら日々を過ごしていく姿を、ミッキーロークが「完璧以上」の演技で披露している。
ショーと日常、ステロイドと副作用、LAメタルとグランジ、ドラッグとフラッシュバック、厚化粧と隠された皺,染められたブロンドと白髪,花と毒,ミラーボールと淀んだ目,プライドと思いやり、80年代と90年代。それぞれは互いを傷つけながら、ギラギラと輝きドス黒く沈み込む。それでもショーは続けられなければならないし、人生は続いていく。時間が肉体にも精神にも言葉にも積み重なり、朽ち果てさせ熟成させる。諸行は無情で、だから人生は美しい。
流れる音楽がまた最高。AC/DC,クワイエット・ライオット,RATT、ACCEPT,POISON,シンデレラ,G’N’Rといった80年代メタルの名曲。プロレスに似合いすぎる彼らの音楽は、古びたポスターという形で随所に登場することで物語を味わい深くしていく。
年老いたレスラーが、近所の子供とかつての自分が出演するファミコンゲームをプレイしながら
『Call of Dutyって知ってる?これは古すぎるよ』と言われるシーン。
老いたレスラーと子持ちのダンサーが、RATTの曲で踊りながら
『80年代は最高の時代。90年代が最低。ニルヴァーナが出てきてお気楽がなくなった』
と語り合うシーン。
どのシーンもユーモラスで真剣で、それだけに深い哀しみがスクリーンから漂ってくる。喜怒哀楽の感情がすべて押し寄せてくる。
レスラーは人生のどんなシーンでも、傷だらけになりながら、すべてを受け入れて笑い、また立ち上がる。
わけもなく心の底が元気になり、もっと心を動かしたくなる、いい映画だった!