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第4章 USBアダプタを作る
ケーブル製作は、ハードウェアハッキングには欠かせない作業だ。ハードウェアへの改造や実験の多くで、既存のコネクタを目的に合わせるためのカスタムケーブルが必要になる。
本章では、Xbox用USBアダプタケーブルの製作方法を学ぶ。このケーブルは一般の小売店ではほとんど手に入らないが、Lik-Sang(www.lik-sang.com)のような一部のオンライン業者では取り扱っている。USBアダプタがあれば、標準的なUSBハブ、キーボード、マウスをXboxに接続してLinuxを動かすことができる。(本章は、丈夫なケーブルを製作するための基本をチュートリアル形式で解説している。経験豊富なハードウェアハッカーは読み飛ばしても構わない。)
用意するもの
このプロジェクトには以下の材料が必要だ:
- Xboxゲームコントローラーのブレークアウェイケーブル交換品またはゲームコントローラー延長ケーブル(図4-1参照)
- USB Type A延長コードまたはUSB Type Aメスソケット(図4-2にUSB Type Aメスコネクタを示す)
- はんだごて、はんだ、フラックス
- 斜めニッパーとワイヤーストリッパー
- 絶縁テープ
- (オプション)3/8インチの熱収縮チューブとホットグルー
- (オプション)ワニ口クリップ付きの「第三の手」ツール
本章の手順では、ブレークアウェイ交換ケーブル(ゲームショップで入手可能)とUSB延長コードを使用する。別のコネクタを使いたい場合は、付録F「Xboxハードウェアリファレンス」にXboxの各種コネクタのピン配置が載っているので参照してほしい。
図4-1: (左)Xboxゲームコントローラー延長ケーブル。(右)Xboxブレークアウェイケーブル。
図4-2: USB Type Aメスコネクタ。
方針
XboxのUSBアダプタケーブルを作る基本的な考え方はシンプルだ。XboxブレークアウェイケーブルとUSB延長ケーブルをそれぞれ半分に切断し、適切な端同士をつなぐ。幸い、USB準拠ケーブルには標準的な配線コードがある。赤が+5V電源、黒がグラウンド(GND)、白がData(-)、緑がData(+)だ。つなぎ方は単純で、同じ色のワイヤー同士をつなぐだけでいい。(Xboxケーブルには、ライトガン型ゲームインターフェース用にコンポジットビデオ同期信号のコピーを運ぶ黄色いワイヤーが1本余分についている。この黄色いワイヤーは無視しても問題ない。)本章では、ワイヤーの接続とケーブルの封止を段階的に説明する。
WARNING
USBケーブルメーカーの中には、標準的なUSB配線コードに従っていないものがある。最もよくある違反は白と緑のワイヤーの入れ替えで、まれに色コード自体が全く無視されている場合もある。導通テスターを使って、USB延長ケーブルが実際にUSBカラーコードに準拠しているかを必ず確認しよう。
実装
まず、XboxブレークアウェイケーブルをXbox側コネクタの端から約5cm(2インチ)のところで切断する。USB延長ケーブルはメスコネクタの端近くで切断する。USB延長ケーブルのオス側の半分と、Xboxケーブルの小さいコネクタがついている半分は捨てていい。
次に、斜めニッパーで各ケーブルの外皮被覆に約12 mm(1/2インチ)の切り込みを入れる(図4-3の手順1参照)。被覆をめくると、金属の編組シールドと金属箔で保護されたワイヤーが現れる。編組と箔をめくって、余分な被覆とシールドを切り取る。赤・緑・白・黒のワイヤーの先端を、裸線が約3 mm(1/8インチ)見える程度に剥く。(Xboxブレークアウェイケーブルの黄色いワイヤーは剥かないこと。)剥いた導線の端をフラックスに浸す(図4-3参照)。
アダプタケーブルの強度や安全性が気になる場合は、ケーブルの一方に約32 mm(1-1/4インチ)の熱収縮チューブをあらかじめ通しておく。(このチューブは後ではんだ接合部の上に被せ、ホットグルーで充填して丈夫な接続を作るために使う。)熱収縮チューブによる補強は必須ではないが、施さないとケーブルの強度が落ち、繰り返しの曲げや引っ張りで断線しやすくなる。
図4-3: (1)ケーブル被覆に切り込みを入れ、(2)被覆をめくって内部のワイヤーとシールドを露出させる。(3)余分なシールドと被覆を切り取り、ワイヤー先端を約3mm剥く。(Xboxコネクタケーブル右側の黄色いワイヤーは剥かないことに注意。)(4)最後に、剥いたワイヤーの先端をはんだフラックスに浸す。
次に、図4-4に示すように同じ色のワイヤー同士をはんだ付けする。はんだ付けの際は友人にケーブルを押さえてもらうか、ワニ口クリップ付きの「第三の手」ツール(Jameco注文番号26690)でケーブルを固定するといい。はんだ接合部はすべて滑らかで光沢があるよう仕上げること。各接合部を強く引っ張って、はんだ接続がしっかりしているか確認する。露出した接合部が互いに短絡しないよう、小さな絶縁テープを巻いておく。次のステップでは接合部を永久封入するので、その前にケーブルをテストしておくこと。
図4-4: (1)はんだ付け前に熱収縮チューブをケーブルに通しておく。(2)同じ色のワイヤー同士をはんだ付けする。(3)短絡防止のため、ワイヤーを絶縁テープで巻く。ケーブルをテストする。(4)テスト済みのケーブルに少量のホットグルーを点付けし、次のステップに備えて絶縁テープとワイヤーを固定する。
ケーブルのテストが完了して問題ないことを確認したら、図4-5に示すように、機械的補強のためにはんだ接合部に丈夫なケーシングを施す。露出したはんだ接合部にホットグルーを少量点付けして、互いに短絡しないよう固定する。次に熱収縮チューブをはんだ接合部の上に被せ、チューブの両端からホットグルーを充填する。グルーの熱でチューブが収縮し、接合部を覆う固くて恒久的な外装が形成される。(ホットグルーは接合部のひずみ緩和としても機能するため、通常の使用状況では大半の負荷に耐えられる丈夫なケーブルになる。)
ホットグルーと熱収縮チューブがなくてもケーブルは完全に機能する。これらが手元にない場合は、各接合部に絶縁テープを丁寧に巻くことで応急的な機械的補強として代用できる。
図4-5: (1)熱収縮チューブを接合部に被せ、ホットグルーを充填し始める。(2)ホットグルーの熱で熱収縮チューブが収縮する。(3)完成品は大抵の扱いに耐える恒久的な外装で覆われる。(4)完成したUSBアダプタケーブル全体の写真。Xbox側とUSB側のコネクタを示す。
XboxゲームポートへのUSBアダプタが完成したら、第11章と第12章でXboxにLinuxをインストールするための手順を説明している。新しいアダプタを活用してほしい。
*原著*: *Hacking the Xbox: An Introduction to Reverse Engineering* © 2003 Xenatera LLC
*著者*: Andrew "bunnie" Huang | *出版*: No Starch Press
*日本語訳・レビュー*: ニコ技深圳コミュニティ / 高須正和(@tks) — [https://takasumasakazu.net](https://takasumasakazu.net) — CC BY-NC-SA 1.0
*注記*: 本翻訳は、原著の Creative Commons ライセンス条件に従って公開する翻訳コントリビューションであり、著者 bunnie からも歓迎のコメントをいただいています。出版社による公式日本語版ではありません。